なぜこいつを野に放した?

シネマート新宿がまたやらかした

はい、みなさんこんばんは。
それでは『アングスト/不安』の紹介を始めたいと思います! 

シネマート新宿は以前、『ザ・バニシング-消失-』や『ヘンリー』を上映していた、あの問題児(映画館)です。もう!本当にこういうの好きなんだから~。

今回ご紹介するのも、犯罪者が野に放たれる系の映画です。

『ザ・バニシング-消失-』では自称キレ者の男が行き当たりばったりの完全犯罪をやり遂げ、『ヘンリー』は大雑把すぎる犯行ゆえ、警察にも気づかれず300人以上の女性を殺害しました。

では『アングスト/不安』は?

一家を惨殺し、完璧な計画を実行しようとするも、手際がもたついており、すぐ刑務所に逆戻り。

……いつから完璧だと錯覚していた?

自由にしてはいけない人間

あらすじ

1980年にオーストリアで実際に起こった一家惨殺事件がモデル。殺人鬼ヴェルナー・クニーセクが、8年の刑期を終えるひと月前、就職先を探すために許された、3日間の仮出所中に起きた出来事。この狂人を決して野に放ってはならないと、気付いた時にはもう遅かった。

主人公が犯罪者シリーズ

先程例に挙げた『ザ・バニシング-消失-』『ヘンリー』とも共通する点として、彼らが犯行におよぶ瞬間を、カメラを通して追体験することが挙げられます。

『ザ・バニシング-消失-』は、ぶっつけ本番だったのに、たまたますごく上手くいっちゃいました。そのせいか警察は手掛かりが掴めず、結局逮捕できていません。あまりにも運任せなので、感情移入してドキドキします。相手は犯罪者なのに。

『ヘンリー』は死体の処理も実に大雑把なのですが、息するように人を殺めます。すぐ捕まりそうなものなのに、毎回殺し方を変えているせいで、それらが一人の犯行だと気づけません。警察が無力なので、観ている方が緊張します。

そして『アングスト/不安』は、非常に時間感覚がヘンテコです。犯行がものすごくもたもたしていて、ドイツ表現主義かと思いました。空き家に侵入するのも手際が悪いし、住人を縛るのも、殺すのも、いちいち苦戦します。カメラワークがおかしく、落ち着かない映像を、長回しでじっくりと見させられます。

最初に『アングスト/不安』を観た時は、なんて変な映画だと目を丸くしましたが、実際に殺人を犯したリアルな時間感覚は、あんな感じなんだろうなと思います。

よくあるクライムムービーと一線を画すのは、ヴェルナー・クニーセクが犯行に及ぶ間、ずっと彼の独白(心の声)を聞くことになるものの、それが全く理解できず、感情移入も出来ないことでしょう。また、内容がセンセーションであるばかりではなく、手法もなかなかに実験的です。

以上、ご紹介した3作品の中から、一つを選べと問われれば、かなり頭を悩ませますが、表現(カメラワークや演技、音楽やナレーションの使い方)の独自性から、『アングスト/不安』を推します!

それくらい面白かった。

他人事ではないのが犯罪映画

はい、ということで『アングスト/不安』を軽く紹介しました。作品を気に入ったという方には、『ヘンリー』や『ザ・バニシング-消失-』もおすすめです。

特に『ヘンリー』は『アングスト/不安』と同様、実在の事件を元に映画化していますので、本当にあった話です。ヘンリーもヴェルナー・クニーセクも実在の人物。そのへんのホラーよりずっと怖いですよ!

この手のジャンルは、殺人に快楽を求めるような人間が実在していて、いつ遭遇するかわからないという、普段は考えないようにしている問題を突きつけてきます。

おわりに

今回の記事は、内容には深く触れずに、他作品との比較考察を多めに書きました。

この映画、本当に面白かったので、変な先入観を持って欲しくなかったのです。幽霊やゾンビの類いは出てきませんが、これはもはやホラーでしょう。人間が一番怖いです。

それではまた次回!