たまには個人的な話を

どうもこんばんは。今回は『ようこそ映画音響の世界へ』を紹介していきたいと思います。

今作は、ハリウッド映画音響の変遷を追ったドキュメンタリーであり、映画音楽史であり、音響について多くの専門家が答える解説作品でもあります。

彼らはいわゆる、好きを仕事にしている人達で、一般的に見てクリエイティブな職種です。みんな目を輝かせて楽しそうに働いている。

個人的な話ですが、私も昔ポストプロダクションに勤めていたので、作業風景を想像するのは難くありません。勤めたのは映像編集で、音は専門外でしたが、周りの反対を押し切って、ミキサーの大先輩からMA(音響編集)のことを教わっていました。

で、ここからが結論なのですが、音響編集はとにかく面白いです!

今作はハリウッドの話なので、日本のポストプロダクションとはかなり状況が違うとは思います。ただ、最先端の映画音響がそこにはあります!

個人で映像作ってる方は、きっと参考になると思いますよ(たぶん)。

舐められ続けてきた音響

ざっと振り返る歴史

映画には元々音がなく、無音でした。

エジソンが蓄音器を発明しますが、映画のフィルムと同期させるのは難航します。当時は、舞台公演のようにオーケストラや役者が巡回していたそうです。日本でも活弁士が説明していました。

1927年に初めての本格的なトーキー映画『ジャズ・シンガー』が放映され、映像と音の同期に観衆は熱狂しました。ところが、当時は機材が未発達で制約も多く、まあなんとか音がついた状態だったようです。映像を撮ったら勝手に同時録音もしてくれる、なんて時代はまだまだ先の話。

ここからかなり試行錯誤があり、同録の上から音を追加したり、効果音を反響させて臨場感を出したり、不要な音(ノイズ)を除去したりと、しだいに音響編集という概念が生まれてきます。映画史にその名を轟かせる『キングコング』(33)、『市民ケーン』(41)、『鳥』(63)、『ゴッドファーザー』(72)、『スター・ウォーズ』(77)、『地獄の黙示録』(79)……などはいずれも、音が高く評価されていることは、今更説明するまでもないでしょう。

にも関わらず、音の重要性は中々理解されないようで、音響に時間をかけ過ぎて解雇されたり、同じ効果音を違う映画でなんども使い回すなど、残念な例には事欠きません。

映画は画が大事で、音は何かついていればいい、とでも言うつもりでしょうか。

映像の50%は音で出来ているのに(激おこ)!

少し余談を

ちなみに、最近エドウッドの『プラン9・フロム・アウタースペース』(総天然色)を観る機会があったのですが、音質がかなり悪かったです笑。立川シネマシティの極音上映だったのですが、どれだけ劇場が音響環境にこだわっても、無理なものは無理なんですね。

先輩のミキサーが「セーフティー(音が割れる閾値)超えたら、どんな音もノイズ」と言っていたのを思い出しました。

エドウッドは生前、オーソン・ウェルズに憧れていたそうですが、ウェルズは元々ラジオドラマ出身で、音に深い造詣があり、『市民ケーン』では反響をうまく使うことで映画に臨場感を与えています。

なのにエドウッド映画は音が悪い!

史上最低の二つ名はダテじゃないですね。

監督は何者ぞ

詳しくはパンフレットで

監督のミッジ・コスティンは、25年もの間、ハリウッドで音響に携わった大ベテランです。ハリウッドでの仕事が認められて、南カリフォルニア大学映画芸術学部で教鞭を揮っています。なんと、今作『ようこそ映画音響の世界へ』は初監督作品らしいです!

初監督とは思えないほど、めちゃくちゃ分かりやすいんだが?

サウンド・エンジニアとしてキャリアを極めてもよかったのに、彼女は教える道を選びました。普段学生を相手に講義しているからこそ、映画もわかりやすいのでしょう。

正直ブルーレイ買って何度でも見返したいくらいですよ。

大学一年生の頃に出会いたかった。

おわりに

はい、ということで『ようこそ映画音響の世界へ』の紹介でした。

できれば音響のいい劇場で、一度ご覧になることをお勧めします。テレビの内臓スピーカーだと、再現できる音域が浅く、プロの仕事の機微がわかりにくいです(特に低音が)。

音響について理解を深めるには、劇場で映画を観ることだなと、独り納得する今日この頃よ!

それではまたお会いしましょう。さようなら。