【映画】フランスにやって来た、アフリカ人とフランス人のハーフの少女、ディリリは青年オレルと出会い、パリの街を案内される。ところが、パリでは男性支配団による少女誘拐事件が多発していた。

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(こいつめちゃ食うな)

ミッシェル・オスロ監督について

本作『ディリリとパリの時間旅行』(2018)はフランスのアニメーション映画監督ミッシェル・オスロの新作です。『キリクと魔女』(1998)、『プリンス&プリンセス』(2000)、『アズールとアスマール』(2006)、『夜のとばりの物語』(2011)など数多くの長編アニメーションを手掛けております。

そんなオスロ監督が次に挑戦したのは、背景を風景写真にし、上から作画した登場人物達を合成する手法。前作までとはガラリと変わった、新たな手法で監督が語りたかったものとは?

背景はまさかの実写⁈

噂を小耳に挟んでいたので、覚悟はしていたのですが、本当に背景、実写でしたね。見始めた頃は戸惑いましたが、段々と違和感がなくなりました。登場人物達も様々な手法で描かれており、その中にコラージュ(写真などを貼りつける手法)としての写真がある、という感じでしょうか。

絵ではなく、写真でパリの街並みが表現されているので、パリの美しさも、汚さも伝わってきます。恐らく背景を絵で表現していたら、理想化された美になっていたのではないでしょうか。オスロ監督が『火垂るの墓』のような背景を描くとは、到底想像できません。

まるでパリ版『海底二万里』

ディリリが青年オレルと出会い、パリの街並みを見て回るのが前半パートとなっています。ですので、アニメーションでありながら、軽いフランス旅行気分を味わうことができます。狂言回し的な2人が風景を見て回り冒険する様は、まるでジュール・ヴェルヌの小説のようです。もし、ジュール・ヴェルヌが芸術の都パリに迷い込んだとしたら、どんな小説を残したでしょうか……。

ちなみに、彼はフランス人です。

芸術の都の意地、垣間見てみるか?

ところで、ジュール・ヴェルヌは女性を描くのが下手くそです。これは自他ともに認めているらしく、『十五少年漂流記』で女性を登場させて以降、その後の作品ではほとんど女性が出てきません。

賢明ですね。

対照的に、本作にはジェンダーの要素が多分に盛り込まれています。パリを男性至上主義社会に変えるべく活動する男性支配団との戦いが後半パートとなっております。

多様性、寛容さ、ジェンダー、そして芸術……。この中のどれか一つあれば、映画が一本出来る程大きな主題が、これでもかとテンコ盛り。啓蒙と聞くとなんとなく説教臭く聞こえるのに、オスロ監督の作品は押し付けがましくありません。
むしろ、今の日本でこの作品を観ることができて、胸がすっとしました。

おわりに

ということで『ディリリとパリの時間旅行』の紹介でした。
いかがだったでしょうか。オスロ監督の作品はスタジオジブリライブラリーから視聴できますので、すでに過去作品をご覧になっている方も大勢いらっしゃると思います。私もその一人で、田舎暮らしでも文化に触れられる貴重な機会でした。

特に『キリクと魔女』は思い入れがあり、なんどもDVDを借りて観たのを思い出します。

それではまた次回お会いしましょう。さようなら。

著者
杉本直樹

杉本直樹

映像作家。 恐怖と笑いは魂を救う特効薬である!……という信念の元、現在アニメーションを制作中。本ブログでもホラー作品を多く取り上げているつもりなのだが、実はあまりジャンルにこだわりがない。

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