【書籍】その少女に酷いことをするのは僕だ!

炎の次は氷かよ
映画じゃない、だと⁈
まさに蒼天の霹靂。
映画紹介ブログ”銀幕の館”でまさかのBookレビュー! 管理人、血迷ったか!
と思ったそこのあなた。
実は本ブログではすでに一冊紹介しているのですよ。『炎のタペストリー』という小説をね。まさか半年以上も間が空くとは思ってませんでしたが笑。
ということで今回は
『氷』(アンナ・カヴァン)の紹介をやっていきたいと思います。炎の次は氷かよ(これ偶然!)。
いつになくテンション高めにいくぜえ!
まあ、この作品めっちゃシリアスなんですけどー。
アルビノの美少女を追いかけるドS男
本作の舞台はイギリスです。
世界中で気温が底無しに下がり続け、世界は氷で覆われ、人が住める場所はどんどん少なくなってゆく。
主人公の男は、世界が大変になっている時に、仕事そっちのけで、少女の尻ばかり追いかけています笑。
主人公が真人間ならいいのですが、読み進めてゆくと、どうやらドSらしいことが発覚。読み手は色んな意味でハラハラすることでしょう。
また、主人公が追う少女というのが、アルビノで美しいという点を除けばなんとも無個性。固有の人物名もありません。
主人公が命からがら辿りついても、
「え、なんで来たの?」
とそっけない。せっかく助けに来たのに笑。
そんな少女に、主人公は異常な執着と執念で、どこまでも追いすがるのです。
「あんたなんか大嫌い!」
好きな相手からそう言われると、普通傷つくと思うのですが、彼は好いた相手が自分を見てくれないことより、少女がまた遠くに行ってしまったことを悔しがります。
氷が迫り、戦争や紛争で身動きできなくなる中、2人はまた出会うことができるのだろうか。
というより、出会っていいのか笑?
作者の概要的なやつ
はい、ということで、作者のことをもう少し掘り下げたいと思います。
アンナ・カヴァンという女性は、イギリスのSF作家です。仲間内では名前が知られていたものの、まだ一般には名前は知られていませんでした。
今回紹介した『氷』がきっかけで名前が知られるようになりますが、すぐに亡くなっています。
本の最後の方に詳しい説明ありますので、良かったら本を買ってみて下さい。 ←おい。
科学、科学していないのがイイ。
私もこれまでにSF作品を多少読んできたのですが、『氷』の独自性が高いのは、科学的な描写がほとんど出てこない点ではないでしょうか。
大抵のSF作品は、あり得ない現象が起きている理由を、科学的にこれでもかと描写します。そこに科学的根拠を持たせられるかどうかが、結構重要だったりします。
SFが苦手な人はここで躓くかもしれません。
ところが、『氷』の場合はそういった、悪い意味でくどい描写は殆どありません。
SF苦手でも大丈夫!
逆にスペースオペラが好きな人は、ピンとこないかもねー。
おわりに
はい、ということで今回は『氷』を紹介しました。小説に対するハードルが高いせいで、たくさんは紹介できていないのですが、これからもマイペースに続けていきます。
そうまるで水滴が、長い時をかけて石を穿つように。
ポタリ、ポタリ……。
風流な水滴の音を想像してください。
終わります。