引越しのお供に

耳をすませば怨嗟の声

はい、みなさんこんばんは、こねこ座です。今回は『残穢』(小野不由美)を紹介していきたいと思います。

いやー久しぶりの書籍紹介ですよ。一応映画以外も紹介するんですよ、このブログ。最近は東京も危なくなってきたので、外に出なくて済む小説は重宝します。

さて『残穢』なのですが、嬉しいことにホラーです。それも、本気でこちらを怖がらせに来るやつ。ちょうど今は夏(7月25日)ですので、タイミングもバッチリでしょう。まあ、こっちは年中探してるんですけどね。本当に怖い作品を。

作品概要

小説を生業にしている作家の”私”は、かつて書いていたホラーシリーズの縁で、一通の手紙を受け取った。送り主は久保という人物で、手紙の内容は、久保さんが体験した怪異現象だった。興味を持った”私”は、久保さんと共に、彼女が暮らしている岡谷マンションについて調査を始める。初めは怖いもの見たさで近づいた二人だったが、調べてゆくうちに、自分たちも死の穢れに触れることになる。

まーあらすじを読むと、映画『呪怨』を思い出しますね。ある物件にとんでもない悪霊が住み着いていて、運悪く近づいた人間を、片っぱしから呪い殺してゆく、あれです。しかしながら『残穢』の場合は、悪霊に脅かされると言うより、死の残り香に触れてしまう。それだけで穢れてしまいます。

たまたま選んだマンションが、不動産屋に紹介された物件が、”アタリ”だったら……?

まさに引越しのお供にぴったりな一冊ですよ。

※ここから先はネタバレ含みます。

霊なんているわけないさ!🚩

本作はドキュメンタリー的な語り口で知られる小説です。建物や土地の歴史を遡った結果、次々と凄惨な事件にたどり着く。場所も時代もバラバラな事件同士を、日本の民俗学的概念である”穢れ”が繋いでゆく。

映画『ノロイ』を彷彿とさせます。『ノロイ』は最終的に『犬鳴村』みたいな場所(ダムの底に沈んだ村)に行き着きます。

それに対し、『残穢』の呪いの中心は、遠く離れた九州北部になります。福岡在住の著名な作家である福澤氏が言うには、「ある意味、北部九州最強の怪談なのでしょう。ほとんど知られていないけれども、それは強すぎるから、という話です。なにしろ、伝えても聞いても祟るから、一切、記録することができない」

伝えるだけで祟られるってすごい!

感染力が強すぎるせいで、遠く距離の離れた土地にも影響が出るなんて、本当に感染症みたいですね。

『残穢』は国内だけで完結していますが、これが国を跨ぐとなると、一大ドラマです。時代が時代だけに、COVID-19を想起してしまいます(関係ないけど)。

科学という思想のない世界なら、感染症はまさしく、伝染する祟りでしょうね。

事故物件? 安くしてよ🚩🚩

ここまで『ノロイ』や『呪怨』など、ホラー映画と比較して考察してきました。どちらも、最後には主人公サイドが酷い目に遭います。個人的に好きな『コンジアム』もそうですね。

映画だと、クライマックスで迫力ある映像を撮ろうと思ったら、やっぱり襲われないと話にはならないわけです。

ところが小説は、必ずしもそうではないようです。

もちろん真辺邸を探索する場面など、映像にしても映えそうな場面もあるのですが、直接的に襲われなくても、しっかり怖いのはすごいです。少なくとも、クライマックスが一番怖くて、悪い意味で盛り上げようとしてる感もなく、ラストまで興醒めせずに楽しめます。

終盤で派手にしようとして失敗するケースが、ほんとに多いので、本作はホラー好きにも安心してお勧めできます。

助かったのか 俺たち🚩🚩🚩

ということで『残穢』の紹介でした。

いや~怖いホラーを紹介したのって、何日ぶりでしょうね。『コンジアム』からだいぶ経過しておりますが。本当は二週に一回くらいは紹介したいのに、なかなか見つかりません。

古本屋で安く手に入るので、よかったら探してみてはいかがでしょうか(有名な作品なので大抵どこにでも置いてます)。これから引っ越す方に、イチオシの力作です。それではまた次回!

さようなら……え、なにか聞こえる?

え、あ、……ぐあああああああ!(🚩回収)